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Guardians of the Galaxy by Donny Cates Vol. 2: Faithless

Guardians of the Galaxy by Donny Cates Vol. 2: Faithless

サノスとの死闘の後新たに結成されたガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに一通のビデオが送られる。そのメッセージの送信者でありピーター・クイルの父親その人であるジェサンはピーターと敵対していた今までの行いへの謝罪とともに新たな脅威が銀河を襲い始めたことを告げると突然様子が変わり"Have faith."という言葉を最後に残しビデオは途切れていた。ピーターは怒りに身を任せて父がいた座標へと向かい、船に連絡係であるテレパスのムーンドラゴンと操縦士のグルートを残し現れた謎の巨大戦艦へと仲間とともに突撃する。しかし彼らは敵の操る謎の力によって洗脳されガーディアンズは壊滅状態となり、船に残った二人だけがなんとかその場を離れる。仲間を助けるべく彼らはかつてガーディアンとして宇宙で闘っていたロケットに助けを求めるが、二人の前に現れた彼の姿は以前とは変り果て、とても闘える姿ではなかった。

Guardians of the Galaxyの第二巻は前巻で不自然なほど意図的に詳細が語られなかったロケットの消息が明らかになり、なんと改造手術の副作用でボロボロになり死を待ちながら隠居していたことが判明。発表当初は彼が死亡するという予告もされており、なかなかハラハラしながら読んでいた。同時に今までのDonny Catesの宇宙系作品の集大成ということもあって出てくるキャラクターの顔ぶれもかなり豪華だ。

冒頭からすでにかなり絶望的な状況に陥った状態から話が始まり、ロケットが死が近いことも判明するなどかなりシリアスな展開で進んでいく物語はかなり引き込まれて楽しめた。以前に引き続きCates作品にしてはかなり直球な物語で一気に読めるGuardians of the Galaxy誌だけど、前作も今作も序盤でいきなりピンチになってしばらくその状況が続いた後にチームが団結してやり返すという構図を使っているので、悪く言えば代わり映えはしないけどよく言えば王道で落ち着いた話になっていると思う。ただ自分はひねくれにひねくれたCatesのコミックが好きだから、そういう人が彼の作品だと思って特有のノリを期待すると肩透かしかもしれない。

この物語は何といってもロケットの物語だろう。自身が受けた改造手術の影響にいよいよ体が耐え切れなくなってしまい死を悟った彼は自身が醜く倒れる姿を仲間に見せないように、静かにガーディアンズの下を離れることを決意して自身の故郷ハーフワールドで隠居生活を送っていた。彼は自身の運命を家族でさえ受け入れてくれないと察し、一人で苦しみを背負いきろうとしていたのだ。しかしそれはグルートをはじめとするガーディアンズからすればとんだ見当違いであり、自身の現状さえも伝えずに仲間を離れた行為はロケットの傲慢とさえとられる行為。ガーディアンズと再会しまた仲間を救う闘いに身を投じたロケットは改めて家族の強さと自身を受け入れてくれる仲間の尊さに気づく。ロケットって結構人間不信気味なキャラクターというか、常に仲間が自分を受け入れてくれるか疑心暗鬼になっているイメージなんだけど、そこは彼があまのじゃくで仲間に素直になれないところも影響しているのだと思う。本作でもすんなり仲間を助けに行こうとはしない割に最初からきちんとガンダムみたいなアーマーを準備していて闘う準備は万端だったりするし、そもそも家族は死んでいく自分の姿を受け入れないと思っているくせに自分は死にかけでも家族を助けようとしてる。家族の大事さは誰よりもわかっているくせに、それゆえ拒絶されることに誰よりも怯えているのだ。そしてグルートたちはロケットのそんな素性をわかっているからこそ、どんなに彼が人を突っぱねても寄り添っている。この物語でも、いつもよりロケットの状況ははるかに深刻だしグルートもだいぶ荒れてはいるが、その構図は変わっていない。最後にロケットは病床を囲む仲間にやっと甘えられているような気がして自分もすごくうれしかった。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーはこの根幹にあるぬくもりが大好きだ。

ただ今回の物語に関しては不満点もある。まず前巻で発展したピーターとガモーラの関係がそこまで深く描かれなかったこと。やっと恋愛関係になったのに倫理観の違いも少し見え隠れする微妙な二人がどうなるのかすごく楽しみだったんだけど、そこの差には全く言及なしでシリーズが終わってしまった。あとはこの話がThanos Wins、Cosmic Ghost Rider、Death of the Inhumans、Silver Surfer: Blackと今までの宇宙を舞台にしたDonny Cates作品のエピローグとなることが予告されていたけど、結局含みを残したしっくりこない終わり方になってしまっていた。まさかこれで終わりなんてことはないと思うからまだまだ今後展開として続いては行くんだろうけど、それなら余計な期待させるような売り文句はやめてほしいな。

とりあえずひと段落下Guardians of the Galaxyだけど、今後も新シリーズのThorを中心としてDonny Catesの物語は宇宙を広げていくと思う。ガーディアンズもまたいつか彼の宇宙で再び活躍してくれることを願って楽しみにしておこう。

 

Guardians of the Galaxy by Donny Cates Vol. 2: Faithless

Guardians of the Galaxy by Donny Cates Vol. 2: Faithless

  • 作者:Donny Cates
  • 出版社/メーカー: Marvel
  • 発売日: 2020/03/03
  • メディア: ペーパーバック