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Guardians of the Galaxy by Al Ewing Vol. 1: Then It's Us

Guardians of the Galaxy by Al Ewing Vol. 1: Then It's Us: It's On Us

ユニバーサル・チャーチ・オブ・トゥルースとの闘いを終え、再び平和な生活を満喫していたガーディアンズ・オブ・ギャラクシー一行。そんなとき、ノバから緊急の連絡が入る。突如死からよみがえり暴走しているゼウスらオリンポス神を止めるためガーディアンの力が必要だというのだ。しかし闘うことをやめ家族としてそれぞれが求める静かな暮らしをすることに決めていた彼らはノバの申し出を辞退し、一部を残して再び日常を過ごそうとする。だがその夜、ピーター・クイルは静かにベッドを抜け出し、宇宙船へと乗り込んでいった。

Donny Catesのランが終わり、新たに今を時めくAl Ewingが担当することになったGuardians of the Galaxy。キャラクター盛沢山でとんでもない規模の敵と闘う派手さが売りだったCates期とは違い、今度はウィットにとんだ戦術や複雑な各々の思惑のぶつかり合いが魅力の物語になっている。

ライターは前述のAl Ewing。Immortal HulkやEmpyreをはじめ、今やMarvelではおなじみのライターだ。特にMark Waidらとともに担当したAvengers: No Road Homeは本作に直接つながってるから本作を読む人は要チェックだ。今後は本誌がEmpyreともつながるらしいからあんまり興味はなかったけど手を出してみたら、そっちもそっちで面白いんだよね。Ewingは裏切らない。

アーティストはJuann Cabal。どこかで見た絵だなと思ったら、以前紹介したFriendly Neighborhood Spider-Manを担当していた人だった。これまた特徴的な絵で、特にキャラクターの表情を繊細に描き分ける人だと思う。変顔やら殴られたシーンやらで結構コメディ寄りの雰囲気を出すのが上手いけど、一転してシリアスな表情もしっかり描けるのが本作でわかった。次巻はアーティストが変わっちゃうみたいだけど、普通にもっと見ていたい絵だったから寂しい。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーといえば多くの人が映画版のコメディ寄りで人情味のある感じを思い出すと思うけど、実は初期のころのコミックはがっつりヒーローものという感じで、ギャグも一応あって殺伐とまではいかないけど結構さばさばした雰囲気のチームだったんだよね。そこをうまくミックスして全体のチームの雰囲気を作れたのが本作の面白いところだと思う。みんなでバーベキューしながらくだらない話してたりガーディアンズは家族だっていう話も出しながら、ピーターとロケットは宇宙のために自らの幸せを犠牲にしてまで闘おうとする。コミックと映画の両方のイメージを合わせて、後々このギャップが物語の起点になっていくから面白いライティングだ。今までのガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが好きな人も、映画の雰囲気が好きで読み始めた人も満足できる作品になっているんじゃないかな。

あとは最初に書いた通り、複雑な心理戦やスパイ映画みたいなぶっ飛び戦術合戦も魅力。ここら辺はEwingの以前の担当作でロケット・ラクーンが主人公のRocketでも披露していた描写かな。マーベル・ユニバースの道具や背景を最大限に生かして、複雑な計画を立ててミッションに挑むガーディアンズはなんとも爽快で、戦略と戦略のぶつかり合いや、負けていると思わせて実は罠でしたみたいなどんでん返しもあって、とにかくドキドキしながら読めるコミックだった。細かいこと抜きにして、純粋に読んでて楽しいって何より大切なことだと改めて感じさせてくれる作品だ。

割とすらすら読める物語だけど、しっかりガーディアンズの根幹は活かして軽すぎず重すぎずのバランスをとった本作、割と誰でも読める作品に仕上がってるなと思う。Ewing担当ということもあって今後マーベル・ユニバースの中心になっていってもおかしくないから、今後の展開の広がりにも期待していきたいコミックだ。

 

Guardians of the Galaxy by Al Ewing Vol. 1: Then It's Us: It's On Us

Guardians of the Galaxy by Al Ewing Vol. 1: Then It's Us: It's On Us

  • 発売日: 2020/10/27
  • メディア: ペーパーバック