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Venom Unleashed Vol. 1

Venom Unleashed Vol. 1

シンビオートを操る闇の神ヌルの復活と同時にエディ・ブロックに接触した謎の男レックスの過去。カルト教団の手によって復活したカーネイジ。シンビオートとカーネイジの闘いの始まり。かつてマニアとしてシンビオートとつながった少女を襲う危機。ヴェノムの周囲で起きた数々の物語が明かされる。

ファンから大好評を博したDonny CatesのVenom誌の番外編として裏エピソードを描いてきたWeb of Venomというシリーズをまとめたのが本作。本編も書いているDonny Catesが担当したVe'namとCarnage Bornに加えて、Catesと一緒に本編やAbsolute Carnageを担当しているアーティストRyan Stegmanがライターとして参加した表題作でもあるVenom Unleashedと過去にVenomを担当していたCullen BunnによるFuneral Pyreが収録されている。番外編という位置づけもあり本編のVenomを読んでいない人は話についていくのが難しいかもしれないが、イベント誌であるAbsolute Carnageにつながる話が多いし本編の展開もがっつり絡むから副読本としては満足な内容だ。

Donny Catesが手掛けた最初の二編はメインのライターというだけあってがっつり本編の話を補完してくれるからすごくありがたい。特にVol. 2の時点ではほとんど言及されてないのにも関わらずイベントにはがっつり絡むカーネイジの復活の話は丁寧に説明してくれるからすごくワクワクした。でも説明に徹したせいか作品にあんまり遊びたいなものはなくて、短編という性質上そんなにサプライズを持ち込むわけにいかないようでCates作品としては不完全燃焼だったかな。正直この二作を読むために本作を買ったみたいなところもあったから結構残念。

本誌で毎度目の保養になる素晴らしいアートを描いているStegmanがライターとして参加したVenom Unleashedはすごくよかった。アーティストが物語を書くとなるとあんまりいい印象がないんだけど、本作に関してはアーティストならではの視点なのか絵を重視した話の運びがすごくうまくいっている印象。内容としてはヌルとの闘いの後会話能力を失ったシンビオートが人知れずエディを狙うカーネイジの手先と闘う話なんだけど、カーネイジに操られて意思を失った人間たちがゾンビっぽかったりカーネイジの洗脳の様子がめちゃめちゃ怖かったりといたるところでホラー要素の強い描写が垣間見える。カーネイジの存在をエディが知るという最低限の本編の補完は済ませつつ、単発のホラー作品としても楽しめる一編になっているんじゃないな。本作の中では一番輝いてた物語だった。

トリを飾るのはCullen BunnによるFuneral Pyre。主人公のマニアことアンディ・ベントンはどうもエージェント・ヴェノムことフラッシュ・トンプソンが主人公だったころのVenom誌をBunnが担当していたころに彼自身が創ったキャラクターらしい。あんまりなじみがないキャラクターだったけど、彼女自身の紹介も含めてわかりやすくさらっと読めるストーリーだった。こっちもこっちで結構グロいシーンもありホラー要素多めの話だったけど、Venom Unleashedと違って途中からはカーネイジとアンディの操る悪魔軍団との戦闘シーンが続くから勢いで楽しく読めるところもよかったかな。復活したカーネイジの強さをがっつり見せてもらえたからこの後のイベントの展開を盛り上げる前座として百点満点だと思う。

こんなたくさん短編が出て、それをまとめてペーパーバックが出ちゃうくらいだから現在のVenomの勢いがうかがえる。Absolute Carnage後にもVenom Islandなる物語が待ち構えているらしくまだまだ楽しませてくれそうだけど、とにかく今はイベント誌を読むのが楽しみだ。ペーパーバックの発売は来年になっちゃうみたいだけど待ち遠しくて仕方ない。

 

Venom Unleashed Vol. 1

Venom Unleashed Vol. 1