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Old Man Quill Vol. 1: Nobody's Fault but Mine

Old Man Quill Vol. 1: Nobody's Fault but My Own

自分の父親の跡を継いで惑星スパルタクスの皇帝となったピーター・クイルはユニバーサル・チャーチ・オブ・トゥルースの手によって守るべき星と家族を失った後、その後悔からやるせなく人生を過ごしていた。しかし、ピーターが最強の武器を手にしてチャーチを崩壊させる未来をマンティスが見たとき、彼の下に再度ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが集結。武器を求めて地球へと向かうが、彼らが目にしたのはヒーローたちに守られていた輝かしいかつての後継とはかけ離れた荒廃した星の姿だった。

ヴィランの一斉蜂起によってヒーローが消え荒廃した世界を舞台に年老いたウルヴァリンの復讐劇を描いたOld Man Loganから始まったこのシリーズ、Old Man Hawkeyeに続いて始まったのが今までとは打って変わって地球ではなく宇宙のヒーローが主人公の本作だ。Amazonだとなぜか題名がNobody's Fault but My Ownになってるけど、ここではペーパーバックの表記を優先してNobody's Fault but Mineとして紹介する。

今までのシリーズ同様荒廃した世界で老いたヒーローを描くというコンセプトは変わらず、追われながらも地球を旅することとなったガーディアンズロードムービーっぽい雰囲気が好き。単純にガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが好きという理由で読んだ自分はOld Man LoganもOld Man Hwakeyeも未読なんだけど、割とこのシリーズ単体で話がまとまってるからこれだけで読んで全然問題ないと思う。

読んでみて意外だったのはピーターとほかのガーディアンズが仲良くやってることかな。こういうディストピア系の話ってかつての仲間はもういなくなってる展開がお約束だから勝手にガーディアンズも仲違いしてるものだと思ってたし実際距離も置いてたみたいなんだけど、再会した後は結構仲良くしてるからびっくり。でもお互い年老いた故の掛け合いみたいなのも面白かったから予想外とはいってもむしろ良かった。特に家族を亡くしたことを引きずって生きてきたピーターに、同じ状況のドラックスが声をかけるシーンは感動した。こういう温かいやりとりが多いからガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは好きだな。

チームとして変わらないガーディアンズの絆を描いてる一方で、ディストピアものらしい哀愁もきっちり抑えてる。本作はピーターが自らのミスで家族を失うことから物語が始まるけど、ピーターってもともと家族を見つけられないで生きてきたことがテーマのキャラクターでそれゆえに新たな家族としてガーディアンズとともに生きてきたと思う。そんな彼が実際に血のつながった家庭を持って、それがさらに壊されてもう一度孤独になってしまう。そんな悲しげな状況もきっちり描写していて、それでかつての家族であり一度離れてしまっていたガーディアンズと再会することで、家族の中で生きていくすばらしさを描いていく流れがすごく美しい。特に殺伐とした世界観だからこそ、人のぬくもりを感じるシーンが印象に残る物語だった。

もう一冊で完結する予定の本シリーズだけど、ハッピーエンドにもバッドエンドにもたどり着ける作風だからこそのドキドキ感があって楽しみ。最後に黒幕もわかったから次巻でどう絡んでくるのか、読むのが待ちきれない。

 

Old Man Quill Vol. 1: Nobody's Fault but My Own

Old Man Quill Vol. 1: Nobody's Fault but My Own