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Guardians of the Galaxy by Donny Cates Vol. 1: The Final Gauntlet

Guardians of the Galaxy by Donny Cates Vol. 1: The Final Gauntlet

Infinity Warsにてガモーラに首を切られて殺害されたサノス。しかし、宇宙最強の存在たる彼がそうも簡単にこの世を去るわけがなかった。彼の遺体の内部から遺言を残したホログラムを発見したサノスの弟エロスは宇宙の中でもとりわけ強力な存在を集め、その意思を公開する。サノスは生前自身の意識をデータ化してほかのだれかに植え付けていたのだ。当人でさえ埋め込まれたことの気づいていない新たなサノスの存在に銀河の住人たちはパニックに陥るも、エロスはその第一候補として長年サノスが目をかけ、直前にまるで彼のようにインフィニティ・ストーンを集めだしたガモーラを挙げ、彼女を抹殺するために同盟を募る。そのころ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの残されたメンバーであるスター・ロードとグルートは残りのメンバーを失った失意の中宇宙を漂っていた。

Donny CatesとGeoff Shawのコンビが担当するだけあってThanos Winsの実質的な続編であり、かつ直前のイベントInfinity Warsの展開の後を継ぐ流れで始まった本作。こんな感じでいろんな要素があるだけあって多少の予備知識は要求されるものの、セッティングは以前の作品でされてるゆえに冒頭からクライマックスの展開で話が突き進むから勢いに乗って読めてすごく面白かった。

Geoff Shawは細かい線を使うのがすごくうまいアーティストで、しわが多いサノスやゴーストライダーは特にかっこよかった。アクションを描くのもうまくて、多人数で大混戦になるシーンが多い本作でもすごくかっこいいし、最近すごく好きなアーティストかな。

相変わらずCatesのモノローグやキャラクター造形は怪しいような、ちょっと煽ってくるような感じで面白いんだけど、本作ではさらに王道なアツい展開も多い。物語を通しても誰かわからない新たなサノスを探すサスペンスみたいなこともしながら、同時にガーディアンズの家族としての結託を強調したり成り行きで集まった全員で決戦に挑んだりと燃える話も進めていく。普段あんまりこういうことをやらないCatesだけど、今までも演出のうまさは存分に活かしていただけあって少年漫画的な展開でもあの手この手で気持ちを盛り上げてくるからすごく面白い。一番気に入ったのは#1のラスト、スター・ロードが新しいチームの結成を宣言した後にゴーストライダー"I ain't signing up to be a member of the damn--"というセリフが続き、ページをめくると見開きででっかくGUARDIANS OF THE GALAXYのタイトルが出る。タイトル一つ取ってもここまでかっこよく見せれるのはさすがDonny Catesの演出力だ。

逆に話自体はものすごいひねりがあるわけでもなく進むから、CatesがVenomでやったような語りの中での巧妙などんでん返しはない。サノスの正体だったり多少謎はあるものの、そこの答え合わせもそこまで驚きではなかった。そこらへんの彼の技量を楽しみたい人にはちょっと物足りないかもしれないけど、それでも今までのタイトルと違って結構王道ヒーローチームであるガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのコミックだから、自分はアツい展開も織り交ぜた今作も楽しく読めたかな。

まだVol. 1では登場しないロケットの現状だったりと今後の伏線も絡めつつ今までのDonny Catesの宇宙の物語を総まとめにすると予告されてる次巻も楽しみだ。

 

Guardians of the Galaxy by Donny Cates Vol. 1: The Final Gauntlet

Guardians of the Galaxy by Donny Cates Vol. 1: The Final Gauntlet