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Thor by Donny Cates Vol. 1: The Devourer King

Thor by Donny Cates Vol. 1: The Devourer King (Thor (2020-)) (English Edition)

アスガルドの王であり自身の父だったオーディンの死をきっかけにソーは彼の全能の力と王座を受け継ぐこととなるが、今までとは全く違う新たな立場にソー自身も不安を感じていた。そんな中迎えた王への就任式の日、彼は新たな王としての第一歩を踏み出そうとするが、突如空から現れたギャラクタスによってアスガルドは混沌に陥ることになる。

説明不要の売れっ子ライター、Donny Catesが次に新しく手掛けるのがこのThor。名作として名高いJason Aaronの後釜ということもあって発表時はかなり話題になっていたけど、まずのVol. 1はそんな期待に応えてくれる作品になっていた。

アーティストはNic Klein、初めて見たアーティストだけどすごくかっこいい絵を描く人だな。宇宙を舞台にした神々の闘いともあって壮大な戦闘シーンが多いけど、見開きなんかもすごく迫力があって本作にピッタリの人選だと思う。あとは人の顔が出るときのの目力がすごい。シリアスな表情を描いたときのカッコよさもピカイチだ。

Catesの新作とあればとりあえず手に取っちゃうんだけど、このソーというキャラクターがCatesのライティングと相性抜群なんだよね。Donny Catesの面白さといえば厨二病チックなモノローグで語られる壮大な展開だけど、ソー自身が悠久の時を生きる神だから本当にライティングが映える。特に#3にてソーがベータ・レイ・ビルと闘う前、かつてソーが二年間闘い続けた戦争について語られるシーンがあるけど、まさに人間の常識とかけ離れた彼の生きる世界を美しく描いたシーンだと思う。Donny Catesがどんな話を書くのか知りたい人はまずこの#3だけ読んでみても面白いかも。

あとはアスガルドの神々という新しいおもちゃをもらえたおかげでCatesの暴れっぷりがいい感じに暴走していて楽しいな。もともとめちゃくちゃ強かったソーがオーディンの力を受け継いでさらに強くなってるのに、そこから今度はギャラクタスのパワー・コズミックまでもらいましたなんて小学生が考えた超サイヤ人5みたいなことを本気でするのがCatesのすごいところ。異常に強いソーが暴れまくってるだけで最高に面白い。#2では勝手にDCユニバースを滅亡させたり、とにかく使えるおもちゃは全部使ってめちゃくちゃなことをするのがすごく気持ちいいな。

なかなか衝撃的なエンディングで終わる本作だけど、実はこの作品は今までのCates作品と直接つながってる話だったりする。彼が最初にMarvelで手掛けた作品であるThanos Winsから徐々に明かされているサノスの計画だけど、Guardians of the Galaxyのラストで彼の目標、というか彼が作り出す未来のゴールがサノス自身がデス、つまり死そのものになることであるというのが明かされた。そして今回のラストでまたとんでもない絵面が出てくるけど、本当にCatesはこれから何をする気なんだっていう感想しか出てこないな。今はVenom関連で盛り上がりが持ってかれてるけど、しばらくしたらまたサノス関連ででかいイベントが来たりするのかな、とにかく今後が楽しみだ。

 

Thor by Donny Cates Vol. 1: The Devourer King (Thor (2020-)) (English Edition)