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Immortal Hulk Vol. 2: The Green Door

Immortal Hulk Vol. 2: The Green Door (Immortal Hulk (2))

過去にガンマ線を浴びた人物の謎の暴走を調査するブルース・バナーとハルクは、そこに自身の父親たたブライアン・バナーの姿をした何かが絡んでいることを察知し、ハルクの生まれ故郷であり彼の力が最も強くなる場所、原爆実験場へと向かい、自身の影にも潜むブライアンと闘うことを決める。しかし同じころ、ハルクの脅威を研究するために軍も密かに動き出していた。

先日紹介したImmortal Hulk誌の続きでシリーズ第二弾が本作。相変わらず怪物としてのハルクの造形やホラー描写に手を入れながら、物語も徐々に広がりを見せていてまさに文句なしの出来だ。

ライターとアーティストは引き続きAl EwingとJoe Bennettが担当している。Ewingのハルク再解釈は相変わらず面白いし、Bennettの絵も前作からより進化してびっくりするようなページがたくさんある。前回の紹介で少し触れたけど、終盤でものすごい人体改造シーンというか、人間の体をめちゃくちゃにした怪物みたいなのが出てくるシーンの絵はまさに圧巻。誉め言葉としてだけどよくこんな気持ち悪いものが思いつくなと思ってしまった。

この巻で一番面白かったのはブルース・バナーの反対の人格というハルクの存在を掘り下げた新しい解釈の使い方かな。もともとはおとなしいブルースと怒り狂うハルクという対比だった部分を、科学者であり人間であるブルースと対照的にハルクは人間より神に近い不死身の存在で、科学のルールなんぞ無視した何でもありの力を持つという風に広げて描いているのがすごく斬新だ。前巻からちょくちょく言及はされてきた設定だけど、本作ではMarvelの神様代表、ソーをもってして神に近いといってたり、ハルクを切り刻んで実験しようとした科学者を機学外の方法で凌駕したりと、よりアピールしようとしているのがよく伝わる。その流れで本作の最後は科学を超えたスピリチュアルな世界観にたどり着くから、うまく設定を使って物語を誘導しているなと思う。Ewingのライティングは話運びが本当にスムーズで、読んでいてもやもやする無駄な部分が全くないから本当に面白い。

一巻と本作の前半まではとにかく新しくなったハルクの雰囲気や強さを知ってもらおうという紹介の部分が多い気がするけど、物語の雰囲気も併せてより不気味に感じるキャラクター造形や規格外の能力、今までのように筋肉で解決ではなく知能もしっかり使って単身でアベンジャーズを圧倒したりと、その魅力は十二分に伝わった。いよいよ後半から今まで広げてきた伏線が積もって話が大きく動いたところだから、いよいよ続きがも逃せなくなってきた。

余談だけど、今作は久々にアブゾービングマンが見れたのもうれしかった。Black Boltでめちゃくちゃいいキャラだったから好きになったけど、やっぱりまた犯罪者に戻ってしまったみたい。でも相変わらず夫婦で仲睦まじくやってるみたいだし、単なる悪意じゃなくてボクサーらしくプライドをかけてハルクに挑むみたいなシーンもよかった。まあ、最後でめちゃくちゃな目にあってたからものすごいかわいそうではあるけど。

 

Immortal Hulk Vol. 2: The Green Door (Immortal Hulk (2))

Immortal Hulk Vol. 2: The Green Door (Immortal Hulk (2))

  • 発売日: 2019/02/26
  • メディア: ペーパーバック